思い残し切符
2003年10月10日ときどき 想い出す
思い残し切符
井上ひさし「イーハトーボの劇列車」のなか
思いを残してこの世を去っていくひとびとが
背の高い車掌に 手渡す厚みのある 切符
ひとりひとりの思い残しを込めた切符は
劇の幕が引かれた瞬間に
列車の最後尾の車掌から
客席へばらまかれた
そのうちの1枚が 私のもとへとんできた
受け取ったのだ だれかの 思いを
だれかの 思い残しを・・・
だから
ときどき だれかの分まで 生きようと
だれかの分まで 笑おうと
だれかの分まで よけいに なにか感じようと
思ったりする。
今日のこの風を感じることのなかっただれかの分まで。
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