涙

2003年9月2日
 涙

      アルベール・サマン
             堀口大学訳

 花にもやどる露の涙、
 岩間のこけには
 清水の涙。
  
 あまねく置くは秋の涙、
 なやみの森の奥にひびく
 狩の角笛涙をながす。
   
 教法寺院の
 鐘の涙
 いのり捧ぐる鐘楼の声。
  
 夢みる如き園の奥の
 噴水に咲く水の花の
 白銀いろの歌の涙。
   
 星かげ多き夜の涙、
 ねむれる如き園の空に
 しのびねに泣く笛の涙。
  
 まつげにやどる真珠の涙、
 思ふ男のこころをぬらす
 恋の乙女のあまき涙。
  
 夢のしずく、あまき涙、
 夜より落ちよ!
 花より落ちよ!
  
 目より流れよ!
 甘きなみだ!
 夢のしずく! あまき涙!
   
  
      
  
  
 泣きたいときは 泣いたほうがいい。
 笑いたいときに笑うように のどがかわいたときに 冷たい水を飲むように。
 今が すべて 
 今のために 生きる
 先のことは 考えない
  
 微笑んでほしいなら 微笑んであげる 
 囁いてほしいなら 囁いてあげる
 長いキスしてほしいなら してあげる
 今だけの私 今だけのあなた
 否定できない別れのことは
  今は考えない。
  
 涙流す私も 冷静に自分たちを見つめる私も
 「私」
  
      

夕涼み

2003年8月22日
 
 濡れた髪と 焼けたうなじ
 むせるくらい抱きしめたね
 二人きりの夕涼みは
 哀しすぎる記憶
  
         yuming
     
       
  

今日の日記

2003年7月13日
 かなしいことが あって 
 かなしい日曜日
 
 かなしいことを知ってしまって
 もっと かなしい 日曜日
  
 メールを送りたくても
 指が動かない
  
 遠くで聞こえる救急車の音
 談笑しながら通り過ぎるひとたち
 だんだん強くなる雨音
 
 たくさんの 約束
 たくさんの 待ち合わせ
  
  
  
 誰もいない 川の岸辺にも
 花が咲き
 雨が降っているよ
   
 ひとは どこから来て
 どこに 行くの?
   
 
    
  わすれなぐさ
          ヴィルヘルム・アレント

   
 ながれのきしのひともとは、
   
 みそらのいろのみづあさぎ、
  
 なみ、ことごとく、くちづけし
 
 はた、ことごとく、わすれゆく。
    
  
      
     
              (上田 敏  訳)
                   

< 29 30 31 32 33 34 35

 

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索